お仕置き部屋

□浴衣と君の白い肌
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今日は総悟と二人で花火大会に行く約束をしていた。総悟と花火を見るのは武州にいたころ以来
だ。真撰組に入ってからは、毎年警備でゆっくり花火を見ることなんて出来なかった。
だからもちろん恋人になってからだって二人でゆっくり花火なんて見たことはない。
毎年、イチャイチャするカップルを見ながら、
「いいよなァ、一般人は。」
と溢していた総悟に
一度くらい恋人らしいことをしてやりたくて、今年の総悟の誕生日に新調した浴衣と隣町の花火
大会の日の二人分の非番を送ってやったのだ。
その時の総悟の嬉しそうな顔と言ったらなかなか忘れられない。

「いっつも、デートらしいことしたことねぇから、待ち合わせなんてしてみてェな」という総悟の提案により、神社の前で待ち合わせすることになった。

約束は6時。もう、5時50分だというのに俺はまだ屯所の玄関にいた。午後の仕事が長引いて遅れてしまったのだ。ここから普通に歩いたら30分はかかる。全速力で走っても20分といったところか。
「急がねぇと……」
"遅刻厳禁ですぜ!?"と言っていた総悟の顔が目に浮かぶ。
俺は、神社への道のりを急いだ。
全速力で走っていくと、神社の境内の前に蜂蜜色の頭が見えた。
「わりぃ、総悟!!!仕事が長引いて遅れちまった!…っはぁっ!
肩で息をしながら駆け寄ると蜂蜜色の頭がゆっくりとこっちを振り向いた。

「遅いですぜ、土方さん!15分も待たせるなんて何考えてるんでさァ。」
「…総…悟?」
腰に手をあて頬を膨らませて怒る総悟の言葉なんか目に入らなかった。
いつもぴったり着込んでいる袴とは違い大きく胸元の開いた浴衣を纏う振り向いた総悟はあまり
にも色っぽくて可愛くて。
思わず言葉を失い絶句してしまう。
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