お仕置き部屋
□愛故に
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いつものように夕食の準備をしていた時のこと。
さっきから総悟の声が聞こえない。
やけに静かだ。
あいつが静かな時は大体なんか悪さしてんだよな。
階段を登って寝室を覗いて十四郎は叫びそうになった。総悟がベランダの柵によじ登り、柵を越えようとしていたのだ。
「…総悟。何やってんだ!?そこ登るなって言っただろ!?」
「…と、トシ兄ィ!!」
慌ててベランダを無事に降りた総悟に十四郎は大きな安堵のため息をついた。
実は総悟がベランダの柵に登って怒られるのはもう3回目だ。
しかも昨日注意してもうしないと約束させたばかり。
命を粗末にするような危険なことばかりする総悟に十四郎は頭に来ていた。
今日という今日は仕置きだ。
ちょっと凝らしめて二度としないようにしてもらわねぇとな。
悪いことをしている自覚はあるのか、総悟は十四郎から後ずさる。
そんな総悟に腕組みをして怖い表情を作ると詰め寄る。
「総悟…何でまたベランダに登ったんだよ?」
「ボール・・・屋根に落ちちゃったんでさァ。」
見ると柵の外に転がったボール。家の中で禁止されてるボールを使ったのを見つかりたくなかったのか。
総悟が柵を越えて屋根のボールを取っていたらと考えるとぞっとした。