短編

□こっちむいて!!
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※「幸せ」の話と同様、結婚した二人の間に子供がいます。
「幸せ」の少し前の話ですが、「幸せ」を先に読んだ方が分かりやすいと思います。








土方さんと俺が結婚して子供が生まれてから半年とちょっと。

子供の名前は十悟。(とうご)男の子だ。俺の血をほとんど受け継いでしまったらしく目や髪の色は、俺にそっくりで、真っ白な肌をしている。

最近寝返りをするようになって、表情も豊かになり、俺や土方さんに天使のような笑顔をにぱっと向けるようになった。
可愛くて可愛くてたまらない。


俺も相当な親バカだと思うが、土方さんときたら仕事から帰ってきたらすぐに十悟のベビーベッドに付きっきりで話しかけているから手に負えない。

その顔といったらにやけきっていて、これが本当に鬼の副長かと疑いたくなる。
「土方さん〜ご飯出来ましたけど?」

「うーんもうちょっと!」

「冷めちゃいやすぜ?」
「もうちょっとで十悟が笑いそうなんだよ…!」

「……………はぁ、アンタどんだけ親バカなんですかィ。」
「仕方ねぇだろ可愛いんだから。」

毎日これが続くとさすがに、ちょっと妬ける時もある。
2年目の結婚記念日の2週間前から土方さんは遠方に出張に行っていた。

去年初めての結婚記念日は土方さんが祝ってくれて色んなことをしてくれた。
何も準備してない俺にお前がいてくれるだけでいいなんてこっ恥ずかしいこといいながら休みとって1日中一緒にいてくれた。
聞いてるこっちが恥ずかしくなるけど、素直に嬉しくて。

今日は2回目の結婚記念日で土方さんが出張から帰ってくる日。
きっと寂しかったなんて土方さんの前では素直に言えないけど、結婚してからずっと毎日一緒だったのに久々にしばらく会えなかったからたまらなく会いたくてこの日をずっと楽しみにしていた。
去年は何も用意出来なかったから山崎から料理教えてもらってちょっと豪華なご飯を作って。

土方さんの帰りを楽しみに待ってたんだ。


なのに、あの人は……
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