◆◇心は狼◆◇
□恋心
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――翌朝
透は制服に着替えて学校に向かった。
なんか体がまだ痛む・・
苦い顔で席に着くと友達の陽一が近付いてくる。
「透ちゃん、どうしたのその顔。また喧嘩?」
「うるせっ。または余計だよ」
「殴られただけ?犯られなかった?」
「はぁあ?だけってなんだよ」
十分じゃねぇか
「透ちゃんイイ男だから襲われなかったかなって心配で」
陽一はニヤニヤ笑っている。
「・・・本当に心配してるわけ?それに男が俺みたいの・・・いや・・可愛らしい男は寄ってくるけど」
「!?・・・お前・・気をつけてね。色気あるから」
陽一が呆れたような顔をしている。
「俺、たま〜にお前に欲情してんの。知らなかった?」
「お前バカだろっ!」
俺はからかうように言う陽一を殴ってやった。
陽一が楽しそうに笑っている。
俺に色気がある?
・・あの人俺に何もしなかったぞ?
・・ちゃんとお礼、言いたかった・・
授業もほとんど耳に入らない
面白くねぇ・・
傷も痛いし・・俺は次の授業をサボる事に決めた。
保健室に行ってみると誰もいなかった。
俺はベッドで勝手に休む事にした。
・・・静かだな。
微かに薬品の匂いがして浅い眠りに誘われた。
―――な・・ん・・だ?