◆◇心は狼◆◇
□出逢い
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透(とおる)の周りには、ビールの空き缶が散乱していた。
「くだらねぇ」
そう吐き捨てて街へ出かけた。
外はひんやりとした空気で真っ暗闇だ。
それがなんだか心地いい。
しばらく歩くと大勢人が歩いている。
それが鬱陶しくて路地を曲がった。
ネオンの光がキラキラしてて。
ふらふら歩いていくと少し足がもつれた。
透は人にもたれるようにぶつかっていた。
「なんだぁ?兄ちゃん」
柄の悪そうな男が二人、薄笑いを浮かべている。
「すみ・・・・!!」
言い終わる前に殴られて俺は地面に倒れていた。
「・・・・・・・ちっ・・・・・」
立ち上がると同時に殴り返し、そこで酔いが回って視界が霞んだ。
「・・・・・っうぅ・・・・」
激しく蹴られて殴られて体が倒れそうになった。
朦朧とする意識の中で、支えるかのように誰かに後ろから両の腕を拘束されていた。