A la carte

□Er raubt dem Madchen einen Kuβ.
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Er raubt dem Madchen
einen Kuβ.
〔彼はその少女からキスを奪う〕



ぱん、と乾いた音へ視線を向けると、男性から足早に離れていく女性。

サクラがその場に居合わせたのは、偶然だった。

「なァに、先生、また振られたの?」

見覚えのある猫背の銀髪は、たいしたダメージもなさそうにサクラを振り返る。

「またとか言わないでチョーダイよ」

「だって、前回から半年も経ってないじゃない。周期が早過ぎるのよ」

彼の噂話は、誰がどーのこーのとネタに事欠かない。
程々に頻繁な為、一部では時事の挨拶の様に交わされてたりする。

「そんなこと言ったって、オレ何もしてないよ?」

「何もしないから振られたのよ。大体、彼女達のこと、ちゃんと好きだったの?」

「‥‥さぁて、ね。サクラには、ナイショ」

名指しで拒否し、フと視線を俯ける。
何か訳有り気に言うカカシだが、我関せずと流すサクラ。

「付き合うならちゃんと好きになってからにしなさいよ。先生ももう若くないんだし」

なんたってカカシが別れた女性達のフォローは、主に(何故か)サクラやナルトに色んな形で降ってくるのだ。
二人共カカシの恋愛事情にはほとほとうんざりしている。

「サ・ク・ラ・ちゃーん‥‥」

意味深なカカシの言葉も軽く否されて、この子は駆け引きも通じないのかとつい徒労を感じてしまう。

「そんなこと、こんな小娘に言われないでよね」

「あのね、オレ、これでも凹んでるの」

「だからなに?」

「ちょっとは慰めてよー」

ふいっと顔を背けると、服の裾を摘まれ、ことりと首を傾げられる。
「イ・ヤ。私には関係ないもの」

サクラはそれを思わず反射的に振り払う。

「あるだろー? チームリーダーだよ? 任務に支障出ちゃうかもよ?」

甘えてるのか可愛いらしいつもりなのか。
幼子がすると愛らしいその仕草も、三十手前の男がやると見苦しいだけだ。
めげないカカシは、振り払われた手を更に伸ばし、サクラの背後から肩に手を回す。

「〜〜〜っああ! もう、先生うっとぉしい! はーなーしーてーッ!」

身体を大きく振り、カカシの拘束から逃れようとするが敵わず、頬を擦り寄せられてしまう。

「だぁめ。今日一日付き合って貰うよー?」

「イーヤー!! 私にだって予定がー!!」

力を込めてカカシとの距離を取ろうとするサクラだが、磁石でもくっついてるかのように離れてくれない。

「一緒にいるだけでいーからさ! ハイ、ウチ決定」

ひょいと簡単に抱え上げられ、子供にするように腕に座らされてしまう。

「意味わかんない! 降ろして! イヤー!!」

不安感なこの姿勢、下手に暴れられず、それでも肩を叩いて反撃するが…カカシの拘束は、堅い。

「ひーとーさーらーいー!!」

「ちょ! 人聞きの悪い!」



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