A la carte

□正しい道
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重たい足を叱咤し、木ノ葉で一番と評判の庭園へ、人の集う方へ向かう。

「カカシ先生!」

人だかりの中心で振り返る、白の主役。

彼女へ近付くと、破顔で迎えられた。

「来てくれないかと思いました」

「いやー、寝坊しちゃってねぇ」

「もう、そのクセ、まだ直らないんですか?」

胸元に白い花。
贅沢に布を使ったスカート。
肘上まで届く、同色の手袋。
後ろに円みをもたせた結い髪。
うっすら上気した頬。
艶やかな紅い口唇。
それらを覆う、薄くたっぷりとしたベール。

幸せそうな、顔。

他の男に嫁ぐ彼女の姿。

「おめでとう、サクラ。幸せにね」


搾り出した声は、震えてなかっただろうか。
笑んだ口元は、頬は、引き攣っていなかったろうか。

自分の未来を描けないオレは、誰かを幸せにする腕は持ってなくて、未来に希望を持っていたあいつを、サクラが選ぶのは当然だった。


それだけ。


20120815


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