頂戴 小説
□災難は一生のパートナー
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枕元にある時計を見れば昼食と呼ばれる時間は ずいぶんと前に過ぎていた。
「…ん゙〜〜…ッ……」
眠気を払うために伸びをしてベッドから抜け出る。
「…腹、減ったな」
ただ寝ているだけでも腹は減るもんだ。
起きたばかりだというのにも拘わらず“早く食いもんよこせ”と腹が鳴いた。
さて、昼飯は何だろうな。
‥っと、その前に先ずは顔を洗ってくるか。
干し物の中からタオルを見つけ引っ掴み、部屋に設けた浴室(洗面所付き)に入り ささっと洗顔をして、軽く身仕度を整える。
スッキリしたところで食堂へ向かおうと部屋を出て…
「ふぎゅうぅっ!!」
吸い込んでいた空気を全て吐き出して潰れたような声と、何かを踏んづけた感触。
足下に纏わりついた子犬や子猫を踏んづけたら、多分こんな感じじゃないだろうか。
けれど ここじゃあ犬や猫というような愛玩動物を飼ってはいない。
…となると…ネズミ、か…?
潰れたか?と思いつつ足下を見る。
すると……
「…だ…旦那……ヒドイ、よ…………」
早く足退けて……、と俺の足の下には ぴくぴくと動く小さな黒い塊がいた。