PH

□生贄はいつしか
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夜も更けた頃にオレの部屋に客がやって来た。寝ぼけていたし普通にノックしてくるもんだから油断した、と言えばそうだろう
いきなり見えた金と赤紫オッドアイにオレはハッとして口を開いた、と同時に手で塞がれほとんど声は声にならなかった

「ヴィ、んんん!」
「ちょっと静かにしようか」

にっこり顔のいつもとは違ってシャツにズボン姿でちょっと質素な感じ(って言ってもシャツはひらひらしてるしズボンは高級な質感を醸し出してるんだけど)なヴィンセントは何しに来たか言うこともなくどこから取り出したのかリボ…?…うん、ちょっとばかり頑丈そうなリボンでオレの両手首を縛って蝶々結びをした
なに、なにが起きようとしてるんだ。さっきまで寝ていたオレはちょっと頭が上手く回らなくて。すると不意にヴィンセントが軽く屈んだと思えばオレの背中と膝の後ろに腕を持っていき軽々と持ち上げた。つまりお姫様抱っこってやつをされて、ぽかんとしてる中そのまま移動してベッドに落とされる。

「こんなことするのもどうかと思うんだけどね…?」
「え………なに…?」
「まあこの邸も広い場所だから声を出した所で大丈夫だと思うけど、一応塞いどこうかなぁ…どうしよう」
「い、いや、ちょっと、ちゃんと、説明を」

戸惑ってるオレを余所にヴィンセントは蝶々結びに縛られた両手を上げさせてベッドの上部に別のロープのような物で固定した。両手の自由が完全に利かなくなって、漸くオレは今の事態のヤバさを理解してきた。
ヴィンセントはオレのシャツを乱暴に掴むとボタンを引き千切った。上半身が外気に触れてオレは小さく息を飲む。
ヴィンセントがオレに興味を示したことなんか無かったのに、一体なにを考えて、
睨むように見詰めていればヴィンセントはオレの視線に気付いたのかふっといつものように何を考えているのかわからない笑みを浮かべて口を開く

「ギルにね、プレゼントしようと思って」
「それとこれが何の関係が…」
「あるよ、プレゼントするのは…


汚れきった マスター(きみ) なんだから


ふふ…、無残な姿の君を見た時のギルの顔…可愛いだろうね」

オレは呆然としていた。なにを言ってるんだ?
ヴィンセントがギルを溺愛してるのは知ってる。大切な人に何かを贈ろうと言う気持ちもわかる。
それがなぜ、こんな行動に変わる?毛頭理解出来ない事態のオンパレードにオレは抵抗と言うものを忘れていた

ヴィンセントの掌が肌を優しく撫ぜるとぞくりと身が震えた。それを見て笑みを深めたヴィンセントはオレの唇に自分のそれを重ねる。柔らかい感触、そこから咥内に舌が侵入してきて様々な場所を舐めてオレの舌に触れると躊躇うことなく絡め取り吸い上げる
好きでもないくせに、なんでこんな接吻が出来るんだ。ぼんやり思っていたら接吻をしながらヴィンセントが何か動いているのがわかった
ちらりと視線を向けるとズボンと下着を脱いでいて、シャツ一枚になっていた。公然猥褻!!と叫びたかったが叫ぼうものなら口に布でも詰め込まれて説得の術を無くすだろうと思って接吻を断ち切って顔を逸らすにとどまった。まあ取り越し苦労だったが…彼はオレに口を使わせる気だったのだから



「んっ!…ぐ…ぅ」

無理矢理口を開けさせられたかと思えばヴィンセントの自身を奥まで突っ込まれて喉の奥で胃液の味を感じる。大きくてそれから苦くて口を開けてるのも辛いけど舌で感じる味覚と嘔吐感には本当にどうしたらいいかと思った。
そんな時ヴィンセントがオレの髪を無造作に掴んで動かし始めた。咥内を擦れる感触が苦しい。「もっと唇で挟んで」と耳元で囁かれてオレは眉を顰めつつも従うしかなかった
とにかく早くこんなこと終わらせて逃げるチャンスを見付けないと、とんでもないことになる予感がする。オレは縛られている両手を動かすがまったく抜けそうにないし解けそうもない
その様子に気付いたのかヴィンセントはくすりと小さく笑って、オレの口から自身を引き抜いたかと思えば顔に向かって射精する。
白濁の液体で汚れたオレの顔を見てヴィンセントは何か物足りなさそうな表情で小首を傾げた。と、何かを思い付いたと言わんばかりにぱっと笑みを浮かべオレのズボンを脱がせ始めた。

 
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