PH

□態度で示そうよ
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言葉にしたらどうにも嘘っぽい
言葉にしないと何も伝わらない

ねぇ、どうしたらいい?





「っ…なん、だよ」
「ほらなんか歌であったじゃん、なんとかなら態度で示そうよ、って」
「なんとか?」
「忘れちゃった」
「おい。いや、つか、そう言うことを言いたいんじゃねーんだよ」

オレが言いたいのは今のこの状況だ。そう言うエリオットはいつもの如く鋭い目つきだが明らかな困惑の色が見て取れる
まあ、うん。オレも正直自分で何をしてるんだと思うところもあるよ。だけど言葉で伝えられないなら態度で示すしかないんじゃないかと思った訳で

エリオットを 押し倒しました

好きだよなんて言葉は薄っぺらくてとてもじゃないが口に出来ない。でもオレだって気持ちを伝えられないもどかしさにはこう…なんかあれなんだ。
まあ押し倒されたエリオットにしてみれば頭の中クエスチョンマークでいっぱいだろうしもしかしなくても気持ち悪い奴だと思ってるかも知れない。だからもう開き直りだ。ぐっと顔を近付けて吐息が掛かる距離で口を開く

「エリオットってさ、キス、したことある?」

オレの科白にエリオットの唇が言葉を紡ごうと動いた瞬間その唇をちゅっと奪う。彼の目がまん丸になる。へへっ、初めて見た、エリオットのこんな顔。気分は勝ちって感じ、でもそれは一転する。
急に視界が反転してオレはうわっ、と小さく声をもらす。エリオットがオレの肩を掴んで思い切り引っ張り体勢が崩れてる隙にオレの下から抜け出して先程まで彼が横になっていた場所にオレを押し付けた上で馬乗りになってきたのだ
これは…殴られるのは覚悟した方が良さげ。軽く歯を食いしばっていると襟元をがっと掴まれる。殴られる、そう思ってぎゅっと目を瞑った、のに、きたのは噛み付くような乱暴な接吻。オレは思わず閉じてた瞼を開いた。
うわっ近っ…って唇が触れ合ってんだから当たり前だよ。自分から近付けるのは躊躇無かったのに、何だろうこの恥ずかしい距離。
暫くして唇が離れるとエリオットが威張るような偉そうな態度で口を開く。

「自分が先にしといてなに赤くなってんだよ」

言われて思わず顔を俯かせた。確かに顔が熱い、だって間近で見たエリオットは凄い格好良くて、時が止まればいいのにとすら思った
エリオットは黙っていたかと思えばもごもごと言いづらそうに口を開いてこんなことを言う

「…なんとかなら態度で示すんだろ」
「………思い出した」
「あ?っ、うわ」

オレはエリオットの首に腕を回してぎゅっと抱き付いた。接吻までしたのに彼はなぜか赤くなる、オレはお構いなしににぃっと笑みを深めた


「"幸せ"なら態度で示そうよ」


ほら 二人で ちゅーしよう



end


 
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