PH
□つまり、
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甘くて、甘ったるくて堪らない
甘い物は好きだけどこんな接吻、嫌いなんだ
「んっ…ふ、…」
絡まり合う舌から伝う唾液がまた甘い
オレはいい加減にイラッとして肩に置いた手に力を込めた
その行動からオレの気持ちを察したらしいブレイクは楽しそうに目を細めて更に深く、深く
本当に性格歪んでるよ、呆れるくらい
「、…ブレ…」
漏れる空気と一緒に声を出すけど途切れ途切れ。名前すらろくに呼べやしない
がさごそと布が擦れ合うような音が耳に届く。まだ続く接吻の中視線だけを落とせばシャツをたくし上げようとする変態の手が目に入る
ここまでくるともうだめだ
「ッ…ブレイク!!」
グーパンで思い切り顔をぶん殴ると油断していたブレイクは思いの外後ろに転がっていった
そしてさして痛がってもいなさそうなへらっとした顔で立ち上がる。そこからは変わらずいつものノリだ
「イヤだなー照れちゃいました?」
「照れるもんか」
「じゃあイヤでしたか、残念ですねぇ」
にこにこ笑顔で残念とか、矛盾って言葉知ってる?
きっとブレイクはもうここでオレがどう返してくるかわかってる。「ああ、イヤだったよ」ってやっぱり矛盾した笑顔で言うとでも思ってるんだろ?
だから、その通りになんか、しない
「…ああ、イヤだったよ」
「やっ「甘いんだもん」
「……?」
「ブレイクのキスは甘い。味もだけど緩いって言うか、本気のキスじゃないじゃん」
オレの言葉にブレイクの笑顔の仮面が少しだけ剥がれた。全部引っ剥がしてあげるよ、ブレイク
少しずつ歩み寄って来るブレイクを真っ直ぐに見た状態でオレはわざとらしくぺろりと自分の唇に舌を這わせた、さっきまでブレイクの唇が押し付けられていた唇に。彼の視線はしっかり舌の動きを追っている
「甘いだけで中身が何も無いキスじゃ、オレは落ちないよ」
「…生意気なガキですね」
「ガキなら甘さで落ちると思ってたんでしょ、…想定外なんだ?」
「っ……」
漸くきた、噛み付くような、貪るような接吻。これがいいんだ、求められてるって感覚。堪らなくぞくぞくする
頭に腕を回してぐっと引き寄せるとブレイクはオレの腰に手を滑らせた。冷たい掌で腰をいやらしく撫でられて思わず疼いた
「…ブレ、」
「甘くなければ…緩くなければイイんでしょう?」
ブレイクの瞳がいつもと違った。いつもは傍観者の目をしているのに今日は捕食者の目だ。
それがわかった上で、オレは口を開いた
「………本気ならね」
つまりオレは、
抵抗する気なんかなかったわけ
end