#KB
□5はなせない
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やさしいぬくもり
その手は柔らかくて
その指は綺麗で繊細で
どきどきしました
みんなで騒いでいたら気付けばもう空には真ん丸な月が浮かぶような時間、急ぎ足で学校を後にしたボクら
でもボクは忘れ物を思い出して一人また学校に戻っていて。まだ閉まっていなかった昇降口にホッとしてそれでも走って忘れ物を取ってきた
それで、学校から出ようとしたら校門に人影が見えて
「…要くん?」
辺りは明かりも無くて暗くて誰だかはわからなかったのにボクは何故か思わずそう言った
言ってから先に帰ってって言ったんだからそんなわけないのにって気付いて思わず苦笑を浮かべる
でも
「遅ぇよ」
返ってきた声はボクが望んだ声だった
「どうしたんですか?」
「…お前一人だと危なっかしいだろ、色々」
いつもみたいなムスッとした顔でぶっきらぼうに言うけど、ボクのことを心配してくれたんだなぁって、勝手に口許には笑みが浮かんだ
嬉しくてありがとうございますと口にすると要くんはどこか照れ臭そうに顔を背けながら何で礼なんか言うんだ、ってボクの手を取った