#KB

□1つないだ手
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少しだけ開いた窓から涼しい秋風が吹く
そんなに寒い訳じゃない。かと言って過ごしやすい気候かと言えばそうとも言い難い

カラカラとその窓を閉めて鍵をかけた。戸締まりのチェックをする先生とか、普通いるものじゃないだろうかと不満を心の中で言って
ああ、そう言えば申請を受けた壊れた鍵、まだ放置してた。やべぇなぁ、なんて他愛ないことを思いながらオレは生徒会の雑務があったせいで遅くなりもう誰も居ない廊下を一人歩んで下駄箱に向かった。

「要」

下駄箱に着いた時、不意に声をかけられて顔を上げる
もう電気は消されていて暗くて顔は見えないが聞き慣れたどこか淡白な声、間違える筈もなくて

「祐希?こんな時間に何やってんだよ」
「待ってた」

サラリと言ってのけた祐希の一言に俺は驚きを隠せなかった
あの祐希が俺のことを待つ?かなり有り得ないことだ。
何か企んでるんだろうかとか思いながら相手に近付くと祐希は何を言うでも無く上靴を下駄箱に閉まって履き慣れたスニーカーに足を入れる
俺もその隣で靴を下駄箱から出して履きながら横目に視線を向けた



 
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