#KB
□初恋
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嫌だった
あの頃
あの話題が
「あー…かおり先生と夫婦になりたいな…」
「またですか」
「飽きないね」
かおり先生が子供のかなめくんを好きになるわけなんてないのに
何でかなめくんにはわからないんだろう
そんなことを思いながらぼんやりとかなめくんを見る
「飽きるもんじゃねーだろ」
「…ああ、諦める?」
「いやゆうた、飽きられる、だよ」
「っ…あのなぁ!」
「かなめくんが怒ったー」
「怒ったー」
真っ赤になりながら追いかけてくるかなめくんをちらりと見ながら逃げる
ばかだなぁ
なんて思った
…かなめくんに対してか自分に対してかはよくわからない
でも実際かなめくんも年上より同い年の方がいいはずなのに
何でわからないんだろう
…男同士ってことはおいといて
「か、かなめくん落ち着いてくださいよー」
「うるせーよ、しゅん」
「うわぁ…やつあたり」
「最低だね」
「ね」
「っ…」
あ、そろそろかなめくんもキレかけてる
だから次何か言われたときは軽く流すかフォローを入れるくらいがいい
かなめくんの扱いはわかってる
「おまっ…」
「あらー何してるのー?」
とそこに来た、…かおり先生
途端にかなめくんの顔が変わる
「か、かおり先生…」
頬を赤らめてわかりやすいくらいに笑顔になる
ああ…嫌だ
何で
何でその顔を向けるのはこっちじゃないんだろう
かなめくんの扱い方は知ってるけど
かなめくんの笑顔は滅多に見れない
「ゆうき、何?」
座ってるゆうたの背中にもたれ掛かって小さく溜息を吐く
ゆうたは何だか珍しそうな顔でこっちを向いた
「……かなめくん」
「…ああ、うん」
もう一回溜息を吐くと頭をぽんぽんと撫でられた
「ほら、かなめくんはまだお子様で本当の恋とか知らないから」
「…わかってるよ」
かなめくんの気持ちが、叶わない初恋なのはわかってる
でも
同じように叶わないで終わるんじゃないかって
ただ
ただそれだけが
嫌だった
あの頃
あの話題が
叶わない要の恋を見てると
いつだって自分もそうなるんじゃないかって、怖かった
「……要」
「あー?何だよ」
「…何でもない」
「?…変な奴」
今も一緒にいる要
ただ、関係は昔のまま
あの話題は
今も嫌だ
要の終わった初恋と違って、オレの恋はまだ終わってないんだから
end