#KB

□01.I like very much, but are there any problems?
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いつもいつもいつも、いつも、いつも!
見ていた。見ているだけがつらかった。でも目が勝手に追ってしまう。
心が叫んでいた、気持ちを伝えてしまえ。吐き出してしまえ。

ねえ、言っても、いいだろ

「I like very much, but are there any problems?」

ぽかんとした顔がオレの顔に向いた。オレは顔を逸らさずに真っ直ぐにその顔を見詰めていた
暫く考えるような素振りの後に、ゆっくりと口を開く

「えっと…何かの例文かな?」

ちょっと待て、高2の英語の授業でこんな簡単な例文が出て堪るか。だったらオレはテストで毎回満点取れる自信がある
オレは俯いて眉根を寄せて唇を噛み締めてから180度向きを変えて駆け出した

すきです

なんて言う勇気なかった。だから英語で、(しかも度胸無しなオレはlikeで)言ってやったって言うのに。

(例文って!)

(どんだけ!)

(鈍感なんだよ!)

暫く走ってから息が切れたので止まった
普通なんだ。冗談にとられなかっただけマシかも知れない(あの人天然ぽいとこあるし)

だってオレは男だし。あの人も男だし。オレは生徒であの人は教師だし。オレはまだ17であの人は…何歳だろう。いや、兎に角子供と大人なのだ
問題があるか?あるに決まってる、寧ろ山積み過ぎて先が見えないくらいだ

無性に悔しくて悔しくて悔しくて、握った拳を壁に叩き付けた、はずだった
手はぽす、と人の手に受け止められて固いコンクリの壁を殴って感じるはずだった痛みはこなかった

「要」

俯いてたオレに降ってきたのはイヤってほど聞き慣れた幼馴染みの声
これが、あの人の声だったらオレはどれだけ嬉しかっただろうか。なんて罰当たりなことを思いながら俯いていた顔を上げると珍しく無表情じゃないそいつがいた
その顔はどこか物悲しそうな、でも優しい顔をしていて。受け止めたオレの手を握って引いてそのまま抱き締められた
オレは何も言えず、こいつも何も言わず端から見れば男同士で気色悪いことこの上ないだろう
でもオレは今、こいつを拒むのがいやだった。本当に独りきりになってしまう気がしたから

 
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