若王子貴文
□わがまま王子
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「王子役は誰ですか?」
「佐伯くんですけど…」
「その佐伯くんは、君と仲が良いですよね?」
「まぁ…」
「キスシーンもありますよね?」
「キ、キスシーンって言っても、ふりですよ、ふり!本当にするわけ…」
「だからです」
「???」
「たとえふりでも、僕の好きな人の顔に、他の男の顔が近付くのを見てられません!」
つまり、若王子先生のひどいヤキモチということになるってこと?
「それって、先生の…」
「わがままですよ。ダメですか?」
拗ねた表情から一変し、真剣なまなざしでこちらを見上げて来る。
「だ、だって…」
すると先生は、すくっと立ち上がり、私の目線に顔を合わせるように少し屈んでいる。
「そうですねぇ…」
「ん?」
にこっと微笑んだあと、若王子先生の顔がゆっくりと近付いてくる。
「せ、先生?」
「キスシーンの練習は無しです」
「はい?」
そしてついに、先生の唇が私の唇に軽く触れられた。
チュッ
「っ!?////」
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