若王子貴文

□わがまま王子
2ページ/4ページ

「王子役は誰ですか?」

「佐伯くんですけど…」

「その佐伯くんは、君と仲が良いですよね?」

「まぁ…」

「キスシーンもありますよね?」

「キ、キスシーンって言っても、ふりですよ、ふり!本当にするわけ…」

「だからです」

「???」

「たとえふりでも、僕の好きな人の顔に、他の男の顔が近付くのを見てられません!」

つまり、若王子先生のひどいヤキモチということになるってこと?

「それって、先生の…」

「わがままですよ。ダメですか?」

拗ねた表情から一変し、真剣なまなざしでこちらを見上げて来る。

「だ、だって…」

すると先生は、すくっと立ち上がり、私の目線に顔を合わせるように少し屈んでいる。

「そうですねぇ…」

「ん?」

にこっと微笑んだあと、若王子先生の顔がゆっくりと近付いてくる。

「せ、先生?」

「キスシーンの練習は無しです」

「はい?」

そしてついに、先生の唇が私の唇に軽く触れられた。

チュッ

「っ!?////」



次へ
前へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ