若王子貴文

□初デートの誘い方
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「じゃあ、夏はプールで冬はスキーとか」
「時期が限られますし、事故が起きたりしたら大変です」
「うーん…」

確かに先生の言うとおりだ。

「じゃあ森林公園はどうですか?」
「それはいいですね〜」

なんだか簡単に解決してしまったけど、そんなことでいいのだろうか…

「早速ですが、次の日曜日の課外学習の下見に参加してくれますか?」
「…下見ですか?」
「はい。森林公園とはいえ、どこに危険が潜んでいるかわからないですから、先生と一緒に下見に行きましょう!」
「その危険が私に起きるのはいいんですか?」
「僕が命をかけて君を守ります」

真顔で答える先生に、まるでプロポーズされた気分になる。

「そんな…大袈裟ですよ」
「ちょっと言い過ぎました?」
「ふふっ。でも先生が守ってくれるなら森林公園に下見に行ってもいいですよ」
「ホントに?」
「はい」
「先生とふたりきりだけどいいの?」
「いいですよ」
「デートってことだよ?」
「はい…」
「じゃあ約束」

そう言ってゆびきりをしてきた先生の顔は、先生というより一人の男の人に見えて、なんだかドキドキしてしまった……



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