佐伯瑛

□接客禁止令
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「ごちそうさまでした」
「ありがとうございます、また起こしください」

そう言って客を送り出すと、彼女がじいちゃんに注文をしていた。

「マスター、5番テーブルにブラジルブレンド2です」
「はいはい」

――ふーん…あの大学生、ブラジルブレンド頼んだのか。

聞いてないふりをしながらカウンターに戻る。

そして彼女の顔をちらっと見てみた。なんかにやにやしてるし…

「なににやけてんだ?気持ち悪いな」
「えへへ、わかる?」

さっきの大学生に何か言われたんだろうか。でも、言われたとしてもにやけるってどういうことだよ…

「なんか嬉しくてさ」

――嬉しい?

「そうだ!佐伯君、5番テーブルお願いね」
「はぁ?」
「いいからいいから!」

するとタイミングよくじいちゃんが声をかけた。
「3番テーブルお願いします」
「はーい♪」
「ったく、意味わかんないし…」
「瑛、いいから彼女の言うとおりにしなさい」
「わかってるよ」

それにしても嬉しいって何なんだよ…
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