月森蓮
□中学校に行きたい
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休日の空は晴天。
隣には俺には眩しいくらいの君がいる。
「今日もいっぱい練習したねぇ」
うーん、と背伸びをしながら君は言う。
「そうだな」
2時間くらいの練習だったが、二人きりということもあり、いつも以上に集中できた。
「疲れていないか?」
「全然っ、むしろスッキリしてる」
晴れやかな君の笑顔をみると、本当にそうなんだと安心できる。
「この後どうしよっか?」
「そうだな…」
休日の練習の約束は、デートの約束でもある。
「香穂子の行きたいところでいいが…」
「え〜、月森君いつもそう言うんだから…」
そう言われても、特に行きたいところはないし、ましてやそういう場所も知らないのだからしょうがない。
「うーん…そうだなぁ、先週は水族館に行ったし…」
2人で練習するようになってからだいぶ経つので、同じ数だけあらゆる場所に出かけている。
「あっ!そうだ!」
にやっと含み笑いをして
「月森君の中学校に行きたい!」
何を言い出すかと思ったら…
ん?俺の中学校?
「なんで俺の中学校に?」
「行きたいから!私の行きたい場所でいいんだよね?」
「そうだが…」
中学校に行っても特に何もないと思うが、彼女が行きたいと言うなら。
「早く早く、行こ!」
彼女は俺の手を取り、歩き始めた。