金澤紘人
□ジェラシー
1ページ/6ページ
「あ、いたいた。日野ちゃん、この前頼まれてた写真、できたよ」
そう言って現れたのは報道部に所属する天羽菜美である。
「ありがとう」
「日野ちゃんはOKっと。よしっ、あとは3年生の先輩方と金やんか」
天羽さんの口からはよく金澤先生の名前が出て来る。
それはもちろん、彼女が今一番力を入れているコンクール取材のために協力してもらっているからだ。
「そうだ、聞いてよ〜。
昨日金やんに『コーヒー飲むか?』って聞かれたからさ、飲みたいって言ったら、
『だったら勝手に飲んでけ、俺は職員会議だからな』って言うんだよ?
普段そんなこと聞かないからおかしいと思ったんだけどね〜。
おかげで質問の答え聞けなかったし…」
「そうなんだ」
「金やんってホント冷たいよ。あれなら当分彼女できないわね」
「そうだね」
そんな金やんの彼女が私であると知らない天羽さんは
「でもさ、金やんって日野ちゃんには優しいよね」
「え…」
確かに…。冷たくなどされたことはない。
むしろ優しすぎるくらいだろう。