金色のコルダ
□もう君にも(火×日)
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今日は久し振りに香穂ちゃんと練習だ。
嬉しくて待ちきれない俺は、待ち合わせ時間の15分前に着いてしまった。
「来てるわけないかぁ」
さすがの香穂ちゃんも15分前から来てるはずもなく、待ち合わせ場所の臨海公園入り口で待つことにした。
しばらくすると、海風と一緒にトランペットの音が聞こえてきた。
「トランペット…?」
この公園で楽器の練習をしている人は珍しくない。だけどこの音はなんだか懐かしい感じがした。
俺の身体は音に誘われて、勝手に動きだしていた。
タッタ ターララーララーララッタ ターンタターン♪ タラタ タタターン♪ タララ ………
(この曲…『双頭の鷲の旗の下に』だ…)
コンクールの第一セレクションで演奏したのはもちろんだけど、トランペットの音を初めて聞いて感動した曲でもある。
音は聞こえるが吹いている人の姿が見えない。俺は必死になって公園内を駆け回る。おかげで、音がだんだん近付いてきた。
「あっ!いた!!」
なんとなく隠れていなきゃいけない気がして、木陰から演奏を聞いていた。
その音を出していたのは若い女の人で、後ろ姿しか見えないがやはりどこかで見たことがあるような気がしてならなかった。
タンタタ タンタタタン♪
(あ…終わった)
演奏が終わったようで、彼女は近くのベンチに座ろうとして身体の向きを俺のほうへ変えた、その時!!
「あれ?…もしかして火原君?」
10mは離れている木陰から覗いていたにも関わらず、あっさりとバレてしまった…。でも待てよ?なんで俺の名前を…
「ふふっ、やっぱり火原君だ〜、久しぶりだね」
そう言って笑っているその人は、俺の知っている人…??
「あ!?宮内先輩!?」
「うん!良かった、覚えててくれて」
「覚えてるに決まってますよ!!」
「ありがとう。隠れてないでこっちに来たら?あ、なんか6年前にも同じこと言ったような気がする」
「アハハ、ですね」
6年前か…俺が中1で、宮内先輩が中3だからもうそんなになるんだ。
俺は木陰から移動して、宮内先輩に向き合った。
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