若王子貴文
□わがまま王子
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〜放課後の化学準備室にて〜
「反対です」
そう言って、頬を膨らませて腕を組んでイスに座っているのは、担任の若王子先生。そうやって拗ねている先生を、今まさに、なだめている最中だ。
「でも、決まっちゃったんですよ…」
「ダメです、先生は反対です」
そっぽを向いては、更にご機嫌ななめのご様子だ。
「そんなこと言ったって、今さら変更できません」
「それなら、君の代わりに先生がやりましょうか」
「無理なこと言わないでください…」
さっきからのやり取りは、文化祭で行われる学園演劇の主役に、なんと!この私が選ばれたところから始まっている。
「依りによって、どうして『白雪姫』なんですか?」
「どうしてって、みんなで決めたんです」
「先生は聞いていません」
「もう、どうしてそんなにわがままなんですかぁ?」
そもそも主役に選ばれたんだから、少しは喜んでくれるのかと思ってた。それどころか、反対反対としつこいくらい…
「少しは僕の身にもなってください…」
「え?どういうことですか?」
そして、はぁ…と深い溜め息をついた。
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