VitaminX
□実はかなりの…(清×悠)
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〜とある日曜日〜
「おいっ、ブチャ」
「へ?」
今のは幻聴に違いない。
だってここは学校じゃないし、何より、あの清春君がこんなところにいるはずもないわ。
「無視すんなよ」
(イヤだわ…普段から清春君の声を聞きすぎてるから、休みの日まで声が離れなくなってる)
「南悠里〜〜」
「えぇ〜!?」
大声で名前を呼ばれ、びっくりして顔を上げると、目の前のイスにものすごく機嫌が悪い清春君が座っていた。
「清春君、どうしてここに?」
だってここは、普段の清春君とは無関係に等しい場所だから…
「いつからいたのよ」
「最初から」
「ウソ!全然気付かなかった…」
「クククッ、オマエ、さっきからメニューとにらめっこばっかしてたもんなァ」
やだ…ホントに最初からいたんだ…。
「休みの日にオンナひとりでケーキ屋にいるなんて、ホント可哀相なやつー」
「うっ…しょうがないでしょ、一緒に来てくれる人がいないんだから…」
「ふーん♪」
なぜか機嫌が良くなり、鼻歌まじりでメニューを見ている清春君。
「清春君、もしかして甘い物好きなの?」
「はァ?」
「だって、清春君がこんなところにいるなんて、ちょっと意外だから…」
「誰かさんが作ったアヤシイ物体以外なら何でも食うぜ、キシシシ」
そんな笑顔で言われても嬉しくないわよ…
「おいっ、店員」
すると近くにいた女の店員さんが、駆け寄ってきた。
「はい、お決まりでしょうか?」
「全部もってこーい」
「……は?」
「だから、全部っつってんだろォ、聞こえてねェのか」
「清春君、人に頼む時はもっと丁寧な言い方をしなさい」
「あぁん?オマエが食いたそうな顔してるから、代わりに頼んでやったんじゃねェか」
「食べたそうな顔はしたけど、全部はいりません!」
「あ、あのぉ…」
「あ、すみません、今月のフルーツタルトセットを2つください」
「あ、はい、かしこまりました」
安心した様子で店員さんが引き上げていった。
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