VitaminX

□愛してるの間違い(翼×悠)
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今日に限って、携帯電話を職員室においてきてしまった…。

いつも、休み時間になる度に、携帯電話が鳴り出す。昼休みならまだしも、授業と授業の間の10分休みにまで電話がかかってくるのだ。

そう…相手はもちろん、愛しい彼から…

〜中休み〜

(もう〜生徒と話してたら遅くなっちゃった)

パタパタと廊下を走りながら職員室に向かっていると、二階堂先生に呼び止められた。

「南先生」

「は、はい!」

「廊下は走らないでください」

「あ、すみません…」

「まったく…先生なんですからしっかりしてください」

「はい…」

怒られながらも、頭の中は電話のことでいっぱいだ。彼のことだから、何度も鳴らしているに違いない。

「…先生、南先生、聞いていますか?」

「二階堂先生、すみません、お先に失礼します」

「あ、先生!」

走るなと言われたばかりなのに、いつのまにか走り出していた。


〜職員室で〜

「ゼェハァ…」

少ししか走ってないのに、息が上がってしまうのは年をとったからかしら?

「マイスイートハニ〜♪どうしたんだい?俺に会いたくて走ってきたのかい?」

「違います」

「おぉ!その真直ぐな瞳がたまらなーい」

「か、葛城先生…」

「そうそう。前の授業中、ずっと電話が鳴ってたぜ〜」

「ホントですか?」

いつもなら休み時間にかけてくれるのに、今日に限って授業中にかけてくるなんて、何かあったのかしら…

「どうせ翼のぼっちゃまだろ〜?授業中なんだから出れないこともわかんないなんて相変わらずだな」

「そうですね…」

それでも、かけてくれるのは嬉しい。

ようやくたどり着いた自分の席で、急いで携帯を確認する。そして驚いた。

「えぇ!?」

なんと着信件数が20件、留守録が5件も入っていたのだ。

(すごいわ…)

着信履歴がすべて翼くんで埋まっているんだから…

運良く次の授業が空き時間のわたしは、席に座って、留守録を再生することにした。



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