ときメモGS

□会えないなら(葉×主)
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「あの〜葉月くんがこの店によく来るって聞いたんですけど」

最近、そういう理由でわたしのバイト先、喫茶ALCARDに来る女性客が増えた。
それもそのはず…。どこから情報を仕入れたのか、あるホームページにこの店が紹介されてしまったのだ。


「たまにしかいらっしゃらないですし、いつ来るかはわからないのでなんとも…」

「そんなぁ〜」
「最近は何日くらい前に来ましたか!?」

「ちょっと忘れてしまいましたが…」


対応に追われているのは店長で、毎日たくさんのファンに攻め立てられ、疲労困憊のようすだ。


「ですから、私どもにはどうすることもできませんので…」

「来るまで待ってろってこと?」
「もしかして店の作戦とかだったりして」

「とんでもございません!」

お目当ての葉月くんに会えなかったファンたちは、随分とご立腹だ。


「まぁ、いいわ。とりあえずコーヒーください」
「私にも」

「ありがとうございます、すぐにお持ちいたしますので」


なんだかんだ言っても、こうして店の利益に繋がるため、店長としてもこの報道は微妙というわけだ…


「はぁ〜…」

「お疲れ様です」

「ほんとだよ…あんなファンたちに好かれるんだから、葉月くんも大変だろうなぁ」

「本人に自覚ないとは思いますけどね」

「そうかもね…あ、コーヒー2つお願い」

「わかりました」

彼女たちの痺れを切らさないうちに、持っていかなければならないな、と早めに支度をする。

「君、葉月くんと親しいんだよね」

「え、はい」

「君から頼んでくれないかな〜、騒ぎが収まるまで、しばらく店に来るのを控えてほしいんだ」

「………」

「常連さんにこういうのも辛いんだけど」

「そうですよね…話しておきます」

「そうしてくれると助かるよ」

辛そうな店長を見ているとそう言わざるを得ない。しかし、この店で、葉月くんに会えるのを楽しみしているファンの気持ちもわからなくはない。だって、私も楽しみにしているひとりだから。



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