ときメモGS

□ドキドキしてる?(葉×主)
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カランカランという音とともに、喫茶ALUCARDのドアが開く。

「いらっしゃいませ〜!…あれっ?」
「やっほ〜♪」

片手を胸の前で振りながら店に入ってきたのは、高校時代の友人藤井奈津実だった。

「なつみ〜、いらっしゃい!!」
「えへへっ、いらっしゃいましたぁ」

そう言って笑った顔は、卒業してから半年が経った今も変わっていなかった。

「カウンターでいい?」
「もっちろん」

どうぞ、と店の中まで案内する。そして先に声を掛けたのはわたしだった。

「元気そうだね」

「ちょっと〜それはこっちのセリフ。聞いたよ、葉月と結婚するんだって?」

「もう聞いたの?相変わらず情報早いね」

「わたしを誰だと思ってるの?藤井奈津実様なんだから!」

「そうでした…」

アハハ、と二人で笑い合う。まるで高校時代に戻ったようだ。

「ご注文は何にいたしますか?」

「じゃあ、ホットコーヒー」

「ありがとうございます、少々お待ちください」

わたしはカウンターの中で作業を始める。

「へ〜、慣れたもんね。学生時代はハラハラドキドキの連続で見てられなかったのに」

「…大袈裟だよ」

「ホントのことです」

買い出し中の店長がこの場にいたら、ものすごい勢いで肯定するんだろうな、と思ってしまう。

「で、葉月に何ってプロポーズされたの?」

カウンターに身を乗り出して聞いてきた。やっぱり目的はそれだったのか…

「何って言われても…」

「あるでしょうが!『結婚しよう』とか『オレと同じ墓に入ってくれ』とか『毎朝、君が作った味噌汁を飲みたい』とか〜」

「なつみ…なんか姫城くんに毒されてない?」

「全然っ!」

「そうかな…」

「ほら、誤魔化さないで教えてよ〜」

「うーん…。結婚しようとか言われなかったし…」

「でも結婚するんでしょ?」

「たぶん…」

「たぶんって何それ!もしかしてなんとなく結婚することになっちゃった〜とかって言うんじゃないでしょうね!」

「ちょっとなつみ、声が大きいよ」

仮にもここはわたしの職場で、お客さんも3〜4人はいるのだ。



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