ときメモGS2
□再確認(志×主)
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〜合宿所の外で〜
合宿所の入口にある石の階段には、先客が座っていた。
まさかこんな時間に人がいるとは思わなくて、しかもそこにいたのが彼女だったことに更に驚いた。
「おまえ……」
彼女は、突然声を掛けられて驚いたのか、すぐに後ろを振り向いた。
「…志波くん!!びっくりしたぁ…どうしたの?こんな時間に」
「おまえこそ、何してんだ」
「わたしは外の空気を吸いに」
「風邪ひくぞ」
「大丈夫だよ」
大丈夫とはいってるが、彼女はパジャマ姿にカーディガンという、薄着でしかも無防備な格好をしている。
「これ着ろ」
見兼ねて自分が着てきたスタジャンを肩にかけてやった。
「いいよ!志波くんが風邪ひいちゃうから」
「黙って着てろ」
「……ありがとう」
オレはその優しい笑顔がみれただけで身体が熱くなることを知っていた。
「隣、いいか?」
「うんっ!」
ゆっくりと彼女の隣に腰を下ろす。すると彼女がため息交じりに語り出した。
「今年も終わりだね…」
「そうだな」
「早かったね、1年」
「あぁ……」
返事はしたものの、オレにとってはすごく長く感じていた。なにしろ、隣にいる彼女に出会い、また野球をやれるようになった時から、オレの毎日はこの上なく充実していたから。
「来年の今頃は、きっと受験だなんだって大変なんだろうね」
「入れる大学が無くてか?」
「ち、違うよ〜。たぶん大丈夫だと思う……」
「くくっ、冗談」
「もう……」
今は、こうやって彼女をからかうことさえできるんだから、オレも良い意味で変わったと思う。
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