創作小説ディンゴ!

□2008年度クリスマス小説
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12月25日午前0時


今日は子供にとっては一年で最も待ち遠しい日・・・―――。

そう、クリスマスだ。

全世界の子供は『サンタクロース』という架空の人物を信じ、

目が覚めた時、そばに置いてあるであろうプレゼントに期待を膨らませている。

そしてそれは、ディンゴ!のキャラたちも同様であった。



シーンと寝静まったブローブル一族の敷地内、

その大部分を占めている王族のみが立ち入りを許された区域、

そこでシャーロンは何やら普段の黒いスーツとは違う、派手な格好をしていた。

赤い長靴に、赤いズボン。赤いコートに、赤い帽子。

ところどころに白い毛皮が縫いこまれているその格好は、まさにこの日の主役、


サンタクロースそのものだった。


「さてフィネェオ、準備はいいでしょうか?」

サンタverのシャーロンは楽しそうに言う。

しかしフィネェオは全く楽しそうでなく、自らの鼻をさすった。

「・・・この『赤い鼻』は必要なのでしょうか・・・・・・・。」

ひたすら不服そうなフィネェオを見てシャーロンは、

「いや、必要でしょう!赤鼻のルドルフといったら、クリスマスには欠かせませんからね!」

と、フィネェオの肩に手を置いた。

「では、獣型になってください!」

シャーロンの慰めにイマイチ納得できなさそうなフィネェオは、

多少の文句を呟きつつ、原型である狐へと姿を変えた。

「シャーロン様、ちゃんと『ヒゲ』をつけてくださいね。」

フィネェオの鋭い注意に、シャーロンは嫌そうな顔しながらキッパリと言い張った。

「嫌です。」

「シャーロン様!!!」

「あんな『白いヒゲ』なんて私の美意識に反しますよ!!!」

どうしてもヒゲをつけたくないシャーロンは、

コートのポケットから黒いサングラスを取り出した。

「これで顔が見えませんからね、いいでしょう?」

自信満々に言うシャーロンは、傍から見れば明らかにサンタから不審者へと成り下がったように見えるが、

フィネェオはこれ以上反抗するつもりがないらしく、大人しく身を引いた。

「では、私の家で眠っている子たちにプレゼントを配りますか!」

シャーロンはフィネェオに手綱をつけると、ソリに乗り込み、

プレゼントを心待ちにしている子どもたちの方へと向かって行った。
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