夢幻

□横浜リリー
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?「別所。
今回の処理もごくろうさまです。
あなたが、私の右腕でよかったです。
次も、期待していますよ」


イスに座り、冷たい笑みを浮かべた男は自分の目の前に立つ部下であろう黒いスーツを身に着けている長身の男に静かに言った。



別「…はい。
次も、坂本さんの期待に応えてみせます…」

"別所"と呼ばれた青年は、氷のような眼で表情一つ変えず、機械的に答えた。



"坂本さん"と呼ばれたこの男…その素姓は関東一帯を束ねる『坂本組』の頭。



…いわゆる『ヤクザ』のような者…。



優しそうな表情と物言いとは裏腹に、自分達に歯向かう者は容赦無く排除するという考えを持っている。

その坂本組の中でも、彼がもっとも信頼を置いているのがこの別所という青年だった。



坂「報告、ごくろうさまです。」

別「…失礼します…」

そう言うと別所は、退室した。


別「…何度来ても慣れねぇな…。
…つか、この部屋に入ると、異様に緊張してしまう…」



ドアを閉め、軽く息を吐きながら呟いた。


(…あの威圧感…、側近の俺ですら"恐れ"を抱くとは…)




広い廊下の真ん中を、歩きながら別所はまだ微かに震えている左手を見つめた…。



「「別所さん、おはようございます!」」

別「…あぁ」

「「お疲れっす!」」

別「…おぉ」


彼が廊下を歩くたび、擦れ違う幹部や部下達は隅により、彼に頭を下げ挨拶をしていた。

それを彼は、ただ冷たく軽く返していた。




いつもの、見慣れてるこの事務所内の光景だ…。





が…、

?「べぇっしょさぁ〜ん」


出口のロビー付近に来たところで、突如彼の名を呼ぶ声が聞こえた。

別所は、嘆息を漏らすと長い足を止めた。



すると、室内なのにもかかわらず、砂煙をあげて怒濤の如く彼に向かって来る者があった…。



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