宝物小説(戴き物小説)3

□月夜
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今日こそは告白しようと決めていた。
サッカーの試合遠征の最後の夜。明日からは別々のチームの岬とは、しばらく会えなくなる。
「ちょっと話がある。中庭で待ってる。」
夕食をさっさと済ませて岬に耳打ちした。何か言いたげな表情の岬を残して、そのまま中庭に向かった。古びたベンチに座って、どう話そうかと考え始めた。遠くでまだ食事中のチームメイト達の賑やかな声が聞こえていた。
いつからだろう。岬ばかり目で追う様になったのは…。
最初はおとなしい奴だと思っていた。でも、実は負けず嫌いで、頑固だった。可愛い顔しているくせに、時々大人びた事を言っては、俺を驚かせた。
「見てて飽きない奴だよな。」
俺は独り言を呟くと空を見上げた。明るい月が光っていた。
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