宝物小説(戴き物小説)3

□写真
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今夏初めてドイツにいる若林くんの所に行った。この前会ったのは、まだ桜の咲く頃だった。
「久しぶりだな。」
若林くんの部屋はすっきり片付いていて、棚の上に写真がいっぱい飾ってあった。
「写真また増えた?」
サッカー仲間の楽しそうな写真を見ながら聞いてみた。
「合宿の写真が増えたかな?」
若林くんのいれてくれたアイスティーを飲みながら、学校の事やサッカーの事を話した。
「そういえば、前に送った俺の写真どうした?」
僕は自分の部屋に写真を飾らない。それを知ってて若林くんは悪戯っ子みたいに聞いてきた。
「アルバムに入れてるよ。」
「そっか。」
若林くんはちょっと残念そうに笑った。
「僕の家、南葛のメンバーがよく来るから見られちゃうよ。」
僕は、部屋に写真を飾るのは恥ずかしいし、見られるのは、もっと恥ずかしかった。
「俺は見られても構わないけどな。」
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