宝物小説(戴き物小説)3

□蝶々
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中2の夏、期末テストもやっと終わった日曜日。俺たちサッカー部は、朝から試合の為バスに乗り込んでいた。
俺は一番後ろのいつもの席に陣取っていた。他の奴らも適当に席に座り、出欠席を確認した岬が最後に入って来ると、どこからか声がかかる。
「岬、ここ空いてるぞ。」
岬はにっこりすると、声のした前の方の席に座った。俺は大きなあくびをすると、目を閉じた。

「若林くん、着いたよ!」目を開けると、岬が俺を起こしていた。
「おはよう、若林くん。今日、2回目だね。」
岬は悪戯っぽく笑った。
今日は1年は来ていないので、雑用は自分たちでする。やっているつもりではいるが、何か抜けている。こういう時は、気の付く岬の仕事が増える。試合以外の所で、岬が色々フォローしているのを感じていた。

やっと試合が済み、片付けて帰り支度をしたのは、夕方になってからだった。
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