novel
□いつかきっと…
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両手で抱えられたトレーの上には、いい香りを漂わせたコーヒーと先ほど焼けたばかりと見えるスコーンがのっていた。
「ありがとう。」
部屋に入ったマリアンはリオンへと振り返り、笑顔を向けた。
「いい香りだな。」
「そうでしょ、さっき焼いたのよ。」
テーブルへ足を向け、トレーを置く。
「さぁ、どうぞ。」
マリアンは椅子を引き、リオンに席を勧める。
『坊っちゃんいいなぁ・・・。』
「エミリオはお砂糖とミルクはいれるのよね?」
「あぁ。」
湯気が立つ黒い液体の中へ、砂糖とミルクが渦を巻きながら混ざり甘い香りを部屋の中へ解き放つ。