novel
□いつかきっと…
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「シャル行くぞ。」
この声が僕のすべてを埋め尽くす。
『はい!』
この人はこの声でどれほど僕を支配いているのかわかっているだろうか。
ずっとあなたについていきますよ、坊ちゃん。
いつかきっと・・・
『坊ちゃん。』
静まり返った部屋の中、椅子に腰掛け本を読んでいたリオンに壁に立てかけられていたシャルティエが声を掛けた。
「・・・。」
本に集中しているせいか、返事は返ってこない。
『坊ちゃん!!』
「・・なんだ?」
やっと気づいたようで顔を上げ、こちらに向けた。
『もぉ…、本もいいですが部屋にばっかりいないでちょっとは外にでませんか?』
今日は仕事もなく部屋で過ごしているリオンは、少し前に手に入れた本に朝から没頭していた。
「あぁ…、もう少ししたらな。」
『わかりましたよぉ…。』
こちらのことなどお構いなしなリオンに、少しムッとした感情を抱いた。
ートントン
「…誰だ。」
本を閉じ、ドアへと目線を向けるリオン。
「私です、マリアンです。コーヒーを入れたの一緒にどう?」
「あぁ…」
ドアへと足を進め、マリアンを招き入れた。