『clap novel』
□『Brighter Day』−A
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それから3日後。
しばらく様子を見ていたけど、リナリーの体調は良くなる気配はない。
それどころかセキは酷くなっていく。
(今日リナリーの家に行ってみよっかなぁ…。)
さすがに心配になってきた…。
メールや電話では元気そうなそぶりを見せていたけど、彼女のことだからきっと本音は出していない。
そのおかげで今日は仕事なんか手につかない。
しかも1時間前に返信したメールも返って来ない。
(……早退しよっかな。)
そんな甘い考えも浮かんだが、そんなことしたらリナリーにめちゃくちゃ怒られそう…。
(リナリー…会いたいよぉ…。)
カチッ、カチッ、カチッ。
(よっし!5時だっ!)
時計が定時を過ぎたのを確認してすぐに会社を飛び出す。
少しでもリナリーに早く会いたくて、さっきから授業の終わりを待つ中学生のようにそわそわとしていた。
そんな逸る気持ちを抑えつつ駅まで早足で向かっていく。
『〜〜〜♪』
(リナリーからだ!)
携帯からリナリー用に設定してあるメロディが流れた。
ディスプレイにも『リナリー』の文字と電話番号が記されている。
「もしもし!リナリー!?」
勢いよく電話に出たが、聞こえてきた声は期待とは裏腹なものだった。
『アレンくんかい?僕だよ、コムイだよ。』
その声の主はリナリーの兄、コムイ・リーだった。
「あ、あれ?コムイさん?」
確認すると番号は確かにリナリーのもの。
コムイさんがリナリーの電話を使って僕に連絡してくるなんて珍しい…。
「コムイさん、この携帯リナリーの…」
『…ちょっとね。それよりアレンくん…、』
「なんですか?どうしたんですか?」
「………え?」
。