『short novel』
□天使のイタズラ、小悪魔のイタズラ
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「……よしっ。」
部屋に置かれている鏡で自分の姿を確認する。
自分の中では全身完璧。
でも他人から見たら……。
「…恥ずかしい、よね…。」
今の自分の格好は、まるで水着のように露出の高いラフなファッション、黒いマント、
そして、背中には黒い羽、頭に耳を二つ付けて小悪魔コスチュームの出来上がり。
「……アレンくん、こんなカッコした私見たら驚くかな…。」
ていうか驚かすのが目的なんだけどね。
色んな意味でかわいいイタズラって感じがして、楽しみにしている自分がいる。
(……最近、任務で行き違いになったりして全然甘えられなかったからなぁ…。)
今日はいっぱいイタズラして、いっぱい甘えて、彼を私色に染めてやるっ!
「…よっし!行くぞーっ!」
(メロメロにしてみせるんだからっ!)
意気揚々とマントを翻しドアを開け、愛する彼の元へと、
「あ、」
「あ、」
辿り着けなかった……。
「………。」
目の前にいるのはおっきなカボチャの被り物をした男の人。
どうやら私の部屋に入ろうとしたらしいけど…。
「…アレンくん。」
『…バレちゃった?』
「バレバレだよ?どこから見てもアレンくんだよっ。」
「…いやー、案外バレないと思ったけど…、って、リナリー…。」
「?」
「…そのカッコ…。」
「………。…っ!!////」
まじまじと見られると恥ずかしさが生まれてきて、顔が真っ赤になる。
変なタイミングで彼に遭遇しちゃったから……。
「え、えっとっ、コレはっ…////」
「とっ、Trick or treat!!////」
「…………。」
ぎゅっー。
「え、あの、アレンくん…?////」
「ーーー……。」
いきなり抱きしめられ、耳元に囁かれた熱い言葉。
とろけるくらい甘く、ささやかな幸せ。
「…うん…、ありがと…。」
10月31日、今日は寒さも忘れる愛に溢れた日になりそうです…。
(…お菓子の代わりに、僕をあげる…////)
fin