03/13の日記
01:55
むつさんとさかもとせんせいとたかすぎくん 4
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(『むつさんと……3』の翌日設定)
「はいどちらさん……って、なんじゃ、高杉か」
「……。お前なにやってんの?」
「女子の家に押し掛けてきといて、なにを言っちゅう。みての通りわしは病人じゃ、用がないなら帰りゆう」
「……まじで風邪?」
「今は薬で下がっとるが……一応37.6℃じゃ」
「おま……。昨日の今日で休んでるっつーから、俺ぁてっきりふて寝でもしてんのかと……」
「……それ、中身……杏仁豆腐か?」
「あ? あー、さっきコンビニでいろいろ買った」
「おまん、菓子は嫌いじゃったろ」
「俺のは酒のつまみ」
「……よく制服姿で酒なぞ買えたのう」
「今の時間、バイトしてんの似蔵だからな」
「いつもならこの不良がと叱っちゅうが……雨も降っちゅうし、なによりわしの杏仁豆腐がもったいなか、入れてやるぜよ」
「……お前のなんか言ってねーけど」
「おまんが『俺のは』っちゅうたんじゃろ」
「……」
「おまんこれ、杏仁豆腐じゃのうてヨーグルトやなか。じじいみたいな間違いしよって」
「っせーな、てめーのために買ったんじゃねーっつってんだろ」
「おまんわしがいつも食うてる杏仁豆腐しっちょるじゃろ。パッケージが若干似とるからって……」
「てめ……もう食うな、返せ」
「一辺寄越したもん返せとは、いじきたなか。我慢しちゃるき」
「うぜぇ……」
「お互いさまじゃ」
「……」
「……お」
「なんじゃ?」
「この机の上の写真、肩車されてるやつ、お前と坂本?」
「う。ち、違うき」
「嘘つけ、こんな目付きの悪いガキとモジャモジャ男、何人もいてたまっか」
「……たまたま出てきたんじゃ」
「はーん。思い出に浸ってたわけか」
「うっさい、違うき」
「否定するこたねーだろ」
「おまんがひとを小馬鹿にしゆうから」
「失礼な。応援してやってんだよ」
「どこがじゃ、自分がおもろいだけじゃろう。……それに」
「?」
「応援なんか、いらんき。意味なか」
「……おい、」
「あやつの中のわしは、こん写真のちまいガキと変わっとらん。そもそもわしは、あやつとどうかなりたかったわけやないき。……ただ、再会できたことを……喜び合えたらと……」
「……そーかよ」
「……やっぱりしんどくなってきよった。悪いがわしはもう寝るぜよ。鍵を貸しちゃるき、玄関を閉めて帰っちょくれ」
「……おう。……なぁ、陸奥」
「うん?」
「……。いや……治したら、菓子代金返せよ」
「……ぐぅ」
「おい」
「……」
130313
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もうギャグの香りが皆無な『むつさんと』シリーズです。まさか、たった四話でこんな雰囲気になるとは。
そして、シリアスが苦手な会話劇。細かい動きが書けないので雰囲気がどれくらい伝わってるかが心配です。とりあえず三点リーダー(「……」)の多いこと!
なんだか静かな雰囲気が出したかったんですが……難しい形式。
さて、久しい更新がマイナーで申し訳ないです。。しかし、愛は平等に注がれています!
野暮ですが……最後の沈黙は、誰のものととってもらっても結構です。
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