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□勇者とマオー【絶対の約束】
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〜魔王?マオー?初めまして、出逢いは墓地にて☆〜




此処は真夜中の墓地。
「おいおい本当に逝くのかよ?カイン」
「行くよ」
「喰われちまうぜぇ〜」
「大丈夫だよ、ドール…ゾンビだって話し合えば分かってくれるさ」



この真夜中の墓地でぬいぐるみと話してる線目の少年はカイン。
黒ウサギのぬいぐるみはドール。
こんな事してるがカインは一応勇者。


しかし剣も盾も持たない。
何故なら……







「話し合えばって…相手は死体だぜ?」
「大丈夫だよ」
「なぁにが大丈夫なんだよ?」
「とりあえず、ゾンビに村の人間を襲わない様に説得しなきゃ!!」
「無理無理…頭からゴリゴリ喰われちまうのがオチだっつうの」
「その時はその時だよ」
「………はあ」



暗い暗い薄い月明かりだけを頼りに墓地を歩いて行くと…


「お〜お、喰ってる喰ってる」
ドールは口笛を吹いた。


ガリガリ


ゴリゴリ


漂う異臭と腐敗臭。
骨をかじる嫌な音。
「食事中だったね」
「今晩のディナーは生きた…いやいや、生きてた人間だな♪グルメだねぇ〜」


数人のゾンビが小さな少女を貪っている。
肉を
臓物を
血を




ゾンビは死んだ人間が蘇った者、しかし蘇っても最早この世の者では無い。
魔界の者だ。


ゾンビは人間の時の最も大切な欲求、食欲だけが残っている。



だから何も考えずただただ食べる。





人だろうが食べれれば食べ物だから。


「カイン、あの糞餓鬼はもう助からねぇ」
「……そうみたいだね」


少女は見事に上半身しか無かった。
ゾンビは口の周りが真っ赤。
 ・・
「あれを説得するのかよ?」
「お腹が満たされたら話も出来そうだよ?」
ドールはやれやれと首を振る。
「殺しちまった方が楽じゃねぇかよ」
じぃっーとドールは自分の腹のチャックを開け綿だらけの中に手を入れる。
「ゾンビにだって生きる権利はあるよ」
カインはそのドールの手を取りチャックを閉める。
「……死んでんだよあいつら」
「ただ人間を食べるのを止めて貰えば…「カイン」
カインの言葉は遮られた。
ドールは指差す。


「話し合いをしようと思うか?あの涎をだらだら垂らしてあ゛〜だのう゛〜だの叫んだ化け物と」
「うん」
「いいか、あいつらきっとあのあ゛〜とかう゛〜はきっと『いただきます』ってほざいてんだよ」


「大丈夫」
「何が大丈夫だよ?滅茶苦茶こっち向かって来てんぞ」
カインは手を振り大きな声でゾンビを呼ぶ。
「すみませー…」



しかし



一面に広がったのは赤。
赤?いいや朱?それも違う。
紅蓮。


熱い。
燃え盛る炎。
先程まで涎を垂らしてあ゛〜だのう゛〜だの叫んで居たゾンビは今や灼熱の炎の中でダンスしてる。


「「……」」
カインとドールは唖然とする。


「魔法…しかもかなり上級な奴だ」
「誰か居るのかな…」
炎の出所を二人は見ると





黒。
闇夜に紛れる様な全身黒のつり目な男がそこに立って居た。
「大丈夫かよ?お前ら」
音も無く忍び寄る男にカインとドールは後ずさる。


「お前…誰だよ?魔導師か?」
「そんな大層な物じゃねぇ」



 
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