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□騎士でナイトっ!!
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「お前はお前の進みたい道を進めば良いよ」
俺はそう言った。
「軽い気持ちで僕の信念を揺るがせないでくれ」
幼い時にあいつにそう言われたのを今でも夢に見る。






その夢を見た日は自己嫌悪に潰されそうになる。
「姫也、起きたかい?」
「……おはよう、騎士」






















彼の名前は姫ヶ丘姫也。
名門姫ヶ丘家の末息子で今年から私立花園学院に入学するまあ所謂お坊ちゃんだ。
まあお坊ちゃんはお坊ちゃんでも普通のお坊ちゃんじゃないのだ…。
若干体がでかいのを気にしているが本人は至って普通の少年なのに。
「姫也、覚悟は出来たかい?」
「自信ないな…」
「頑張りたまえ」


 
私立花園学院。
この学院はお金持ちの家の子供が通う学校で少し特徴がある。





それは






「姫ヶ丘姫也です」
教室がざわめく。
そりゃあそうだ、教室内は全員女子。
そう、花園学院はクラスが姫、王子、騎士で別れている。
何と姫也が入るクラスは姫組。
クラスの全員名家のお嬢様や本物の姫が居る。
「み…皆さん静粛に、彼は姫ヶ丘のご…御子息ですよ」
「……先生声が震えてますけど大丈夫ですか?」
「……………申し訳御座いません」
「いいえ」
奇異の視線が姫也に集まるが姫也はそんな自分より何より気掛かりな事があるのだ。



騎士道騎士(ないと)。
姫ヶ丘に仕える家柄の子供で姫也の幼馴染み。
幼い時から姫也を守る為だけに生きて来た…………女の子だ。
賢く武術に長け凄く強いが女の子。
騎士組には女子も居るがやはり男子の方が圧倒的に多い。
そんな中で騎士はやっていけるだろうか?
虐められたりしないだろうか?
友達は出来るだろうか?


心配そうにそわそわしていると
「御手洗いならあちらにありますわよ?まあ女子のですけど」
「嫌ですわ、美華様ったら」
「こんな人が御手洗いに来たら怖いですわ」
数人の女子が姫也の席に近付いて来た。
「…あ、ありがと、でも違うんだわ」
その言葉に女子が笑いだす。
「嫌味も分かりませんの?」
「あ…嫌味なのか、は…ははは」


姫也が適当に流すと美華と呼ばれた女子が姫也の頬を抓る。


「澄ましてるおつもりですの?」
「いひゃいいひゃい」
「名門姫ヶ丘の姫君ならまだしも貴方みたいな野蛮な男が同じ教室で空気を吸うなんて理解出来ませんわ」
「影武者か何かでしょう?」
「本物の姫ヶ丘様はどこにいらっしゃるのっ!?」
矢継ぎ早に言葉が飛び交うが姫也の頭はそれ所では無い。
騎士の事で頭が一杯だ。


そんな中で終業の鐘が鳴ると廊下から声が響いた。
「決闘だあああああぁっー!!」
男子生徒の声が廊下に響き渡る。
すると姫君達はそわそわし始めた。
「誰と誰かしら?」
「どちらが勝つかしら?」
辺りから囁かれる言葉。
「決闘?」
「野蛮な男のお遊びですわ」
不思議がる姫也に美華が言った。
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