オリジナル

□普通って何だ?
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俺の名前はハニィ。


男の癖によくもまあ素敵な名前を親は付けてくれたもんだよな。
まあ、女ウケは良いから良しとする。
しかし名前に誂えた様に金髪で更に笑いの種だ。



「ロリィーヌ、起きろ」
「うぅん…後5分」
「起ーきーろ、飯が冷める」
この俺のベッドを占領する魔女の名はロリィーヌ。
…勿論本当に魔女なんかではないが。

悪く言えばただの童顔のヤリマンだ。
そんな童顔のヤリマンの魔女は俺の同居人でもある。
「……寝やがった」




ちなみに言うが俺はこいつの彼氏でもなけりゃ旦那でもない。
しかし、こいつの飯を作りこいつの穿いた下着を洗い風呂まで沸かす。



何なんだろうな?
昔ダチに聞かれた。
『お前はロリィーヌちゃんとシないのか?』



…確かに俺は色んな女に手を出したがロリィーヌだけには手を出したくない。

手を出したら何だか終わる気がするからだ。


俺は幼女を性対象で見る趣味は無いからな。
「……ったく」



折角作ったスクランブルエッグは冷めてしまったし。
「………………馬鹿らしい」
何で好きでも無い女の世話をしにゃならんのだ。
阿呆か
馬鹿か
俺は。





「慰めて貰おう」






そう思った俺は恋人のビアンカに会いに行った。
ビアンカの好きなクッキーを作って

勿論テーブルにメモを残し。
“温め直して喰え”






ロリィーヌは無精だからたまに冷めたままでも喰う。
折角なら温かいうちに喰えっつうんだよ。


辿り着いたビアンカの家の玄関に見知らぬ靴。
男物だろう。
「……」
確か父親は他界したと聞いた。
一人っ子とも聞いた。



とりあえず電話をしてみる。
「ビアンカ」
『ど、どうしたの?ハニィ』
「いやな、今お前の家の近くに居るんだが寄って良いか?」
『えっ!?ちょ、ちょっと待って…あたし、今お風呂に入って』
『ビアンカ?どうした?』


電話の向こうから聞こえる俺じゃない男の声。
『あ、のね…あ、兄が…来てるの』
「ああ、そうなのか…じゃあ又今度にするな」
俺は見えないビアンカに口付けを送る。
『…待って、ハニィ、聞いて』
「んぅ?」
『貴方が…可愛い子(あのこ)と一緒に居るから、あたし、嫉妬して』
「ビアンカ」
あの餓鬼とは何も無いと言おうと思ったら電話が切れた。
向こうの男が切ったんだろう。




俺は溜め息を吐いた。
一体何人目だろうか?あいつのせいで破局したのは?


児童愛好家だと思われたり
嫉妬されたり
妻帯者だと思われたり
ロリィーヌに男を取られた腹癒せに俺と付き合ってくれたり




嫌になる。
俺が何したってんだよ?






「……今日は災難だ」
折角作ったクッキーもどうすりゃ良いんだよ?
馬鹿みたいだ。




近くの公園のベンチに座る。
本来ならビアンカとSEXでもしてたはずなのに何が悲しくて一人でベンチに座ってんだよ。

「おっちゃん一人かよ」
…目の前には顔は可愛いのに可愛くない糞餓鬼。
「俺はお兄さんだ」
「髭生えてるからおっちゃんだ」
「21だ」
「10歳のおれに言わせりゃおっちゃんだな」



糞餓鬼め。
 
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