彷徨って、悪の夢の歌を聴き続けるよ。
□此乃葉
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「うわぁ寒くなったね」
マフラーを巻いて1メートル先に
並木道を歩いている黄泉。
「そうだね、黄泉は秋が寂しく感じるんだよね」
確か毎年常套句になってるよね。
沢山の人が哀しいと云うから秋は何時からか寂しいイメージがある。
「さきと、」
黄泉は立ち止まる。
徐々に追いつく距離。
黄泉の背中と俺の前身がピタリと引っ付いた。
「ん、なぁに、黄泉?」
耳が真っ赤で可愛い。
恥ずかしいって思ってるんだよね。
言っちゃえば楽なのにな。
言わない俺の意地悪さも有るけど。
「、あ、温めて、」
腕を引っ張ると自分で抱き締めていた。
俺の腕、セルフサービスみたいな。
頬を撫でるとくすぐったいと言って手を重ねてきた。
「咲人って意地悪」
うん。
知ってる。
だからさ誤解されちゃう。
「でも、嫌いじゃない」
ありがとう。
今は恥ずかしくて言えないけど心の中から想うよ。
オワリ。
→オマケ。