彷徨って、悪の夢の歌を聴き続けるよ。

□此乃葉
1ページ/2ページ








「うわぁ寒くなったね」

マフラーを巻いて1メートル先に
並木道を歩いている黄泉。



「そうだね、黄泉は秋が寂しく感じるんだよね」

確か毎年常套句になってるよね。
沢山の人が哀しいと云うから秋は何時からか寂しいイメージがある。



「さきと、」

黄泉は立ち止まる。
徐々に追いつく距離。



黄泉の背中と俺の前身がピタリと引っ付いた。



「ん、なぁに、黄泉?」

耳が真っ赤で可愛い。
恥ずかしいって思ってるんだよね。
言っちゃえば楽なのにな。
言わない俺の意地悪さも有るけど。



「、あ、温めて、」

腕を引っ張ると自分で抱き締めていた。

俺の腕、セルフサービスみたいな。

頬を撫でるとくすぐったいと言って手を重ねてきた。



「咲人って意地悪」

うん。
知ってる。

だからさ誤解されちゃう。



「でも、嫌いじゃない」



ありがとう。
今は恥ずかしくて言えないけど心の中から想うよ。






オワリ。



→オマケ。
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ