妄想の産物

□神無月の朝は寒いか?
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「聞いて下さい、雲雀恭弥。」


「……何?」



(本を読んでいたと思ったら)


いきなり沈痛な表情で言われれば聞かざるを得ないだろう


そんな風に考えながら骸の口が開くのを大人しく待つ









「実はこの頃、クロームが僕と目を合わせてくれないんです!」








「………は?」





何を馬鹿馬鹿しい、なんだそれは、あんな顔で勿体ぶってまで言うことか




「解りませんか?!」



「あの愛らしいクロームがっ!」

「僕のクロームが!」


「僕を避けるんです!」




(…思春期の娘に避けられてショック受けてる父親かい?君は)

思ったが声には出さない


…エスカレートしたら嫌だから






「一体僕は何をしてしまったんでしょう?このまま避けられ続けられたりなどしたら…」

「したら?」





「犬がそろそろ死にます」

(…八つ当たりの標的にされてるわけだ、哀れな子犬だね。全く)




「…ならその女子に聞いて見たら良いじゃないか」


「聞こうとしたら逃げられました。」




「…………それで?僕の家にまで来て言いたい事はそれだけ?」


(しかも宿泊までして)





「……聞きに来たんです。」


「聞いて逃げられたんだろう?」

「いいえ、君に聞きに来たんです。」


「……何を?」


「この頃クロームが並中に通って来てますよね?」


「あの草食動物達に用でも有るんじゃない?」


「いや、君の所に行っているはずだ」




「根拠は?」



「クフフ、帰って来たクロームからほんの僅に上質な紅茶の香りがしました」

「君、あの女子が帰って来る度に匂い嗅いでるの!?」


「僕が嗅いだ訳ではありません、犬に嗅がせました」






「……………。」

(八つ当たりの次はストーカー行為までさせられてる訳か)




「…沢田綱吉が紅茶出したんじゃないの?」


「まさか!彼らの中にあんな良い紅茶を振る舞う程気の効かせられる者が居るとは思えません」


「確かにね」


「他に紅茶を振る舞い、並中でクロームの知り合いと云えば君しかいません!」






「………」

「シラをきっても無駄ですよ?証拠は上がっ「うん、来てるよ」」











「はい?雲雀君すみませんもう一度、」





「だから来てるよ、応接室に」






「……………」


「何固まってるのさ、知ってたんでしょう?」



「…何しに来てるんですか?」







「……………」


「一体クロームが応接室に何の用があるんです?!」







「……………」


「言えない様な事を、しに来てるんですか?」







「……………」


「何か言ったらどうなんですか!並盛中学風紀委員長雲雀恭弥!」





「…してるよ」

「何をです?」




















「君に言えない様な事」

「なっ!!!」



(あ、また固まった)









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