おお振り
□さくらの散った後
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「俺、先帰るなー」
田島はそう言うと、部室を出ていった。
「最近、田島すぐ帰るよね」
栄口が呟くとその後ろから水谷が現れた。
「花井、何があったんだよ!」
「知らねーって!俺が知りたいくらいだよ」
新学年になって数週間が経った4月の下旬。
自分で言うのもなんだが、俺達は仲睦まじく何の問題も無くここまで来た…はずだった。
最近、田島が素っ気ないなぁと感じはしていたが、ここまで続くとさすがに心配になってくる。
俺、田島に何した?全く覚えが無いよ。
今日も田島抜きのメンバーで家路に着く。
別れ際、俺を察した栄口が「大丈夫だよ」と肩を叩いた。
「大丈夫…だと良いな」
夜空を見上げると、月は雲に隠れていた。
朝の教室。辺りはゴールデンウィークの話で持ちきりだ。
俺達はほぼ部活だから、ゴールデンウィークは無いに等しい。
唯一の休みは田島と過ごそう…なんて女子みたいな事を考えていたが、相変わらず彼は素っ気ないため予定を話し合えないでいる。
黒板を見ると、見覚えのある数字が並んでいた。
長い溜め息を吐き、頬杖をついくと1時間目の先生が教室に入ってきた。
「…今年は最悪な誕生日だな」
そう、今日は4月28日。
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