おお振り
□俺と俺
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気が付いたら、自分の布団に仰向けになっていた。
俺を覗き込んでいたのは…
「阿部…君?」
昨日は試合でいっぱい投げて、今日は普通に授業やって、放課後部活。
「みーはーしぃ!早く部活行こーぜ」
「あ、うん」
泉くんは浜ちゃんと先に部活へ行っちゃった、だけど田島君は待っててくれた。
「まだ教室に居たのかよ」
廊下から声を掛けてきたのは花井君だった。
「三橋待ってんの!ダメかよ、それ位さ」
「悪いとは言ってねーだろ?三橋、俺も待ってるよ」
「おぉ!花井も一緒に行くか!」
「あ、ありがと・・・」
俺は急いでカバンに荷物を詰め、3人で一緒に部室に向かった。
田島君と花井君は凄く仲が良い。泉君と浜ちゃんも仲が良い。皆の仲良い所を見ていると、いつも俺は阿部君を思い出す。
部活中、俺は阿部君と一緒に居るけどそれまでは一緒に居ないし、休みの日だって遊んだりしない。だから、田島君とかに「昨日、花井ん家でさ…」って話を聞くと凄く羨ましいと思う。
いつからか、俺は阿部君の一番になりたいと思ってた。バッテリーとかそうゆう関係じゃない、もっと違う何か。
部活が始まり、準備体操・瞑想を終えてキャッチボールを始めた。もちろん阿部君とペアだ。その後は走り込みやバッティングをして、最後のメニューに取り掛かった。
「三橋、良いか?この場合はここを狙って…」
「……」
さっきまで何とも無かったのに、急に目の前が霞んできた。阿部君の声も途切れ途切れで何を言ってるか判らない。
「…でだ。俺がサインだしたら…ん?三橋?」
「……」
「おい、三橋!?」
もうダメだ…俺は前に倒れた。手足は痙攣して立てない。
阿部君が握ってきた手を握り返した所で意識が途切れた。
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