おお振り
□花井の・・・
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風が冷たい。
さっきまであんなに暖かかったのに…
「さみー」
「田島、上着は?」
「持ってねー!だって暖かかったもん」
花井はと言うと薄手のパーカーを羽織っている。
花井はいつも準備良いんだよな。
「秋つっても、もう冬近いんだし、夜は冷えるの分かってるだろ?」
「だって今日は平気だと…」
「そろそろ用意しろよな」
「えー」
「えーじゃない」
花井は俺の頭をグシャとすると少し笑った。
まわりを見ると、長袖ワイシャツだったりジャージ着てたり、皆はちゃんと寒くなるの分かってたんだな…
「三橋、長袖だー良いな良いな」
「俺、母さんが、寒いって…夜、だから」
「そっかー」
三橋は母ちゃんが用意してくれてたのか…だよなぁ、三橋が自分で気付いたはず無いよな。
「へっくしょん」
くしゃみが一発。
余計寒く感じてきたよ最悪だ!
「ったく、ほら。貸してやるよ…風邪、引くなよ?」
花井が俺の頭に被せたのは薄手のジャージ。花井の匂いがして、何だかドキドキする。
「…いつまで被っている気だよ。早く着ろ」
「おぅ、ありがとな花井」
「ん、まあな」
ジャージに腕を通してファスナーを閉めると、物凄く暖かくなった気がした。
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