短・中編

□R)蝶の蜜
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軽やかな身のこなしの貴方はまるで………





『蝶の蜜』





「まるで蝶ですね…貴方は…」
「…っ…何を…」

彼に触れる手は、自分でも熱を持っていることを疑うほどに冷たい。

「闘いの後は、血が騒ぐと言うでしょう…?」

一言告げてから始まったこの情事。
抵抗しようと思えばできるだろうに、従順に従う目の前の男を愛しいと思う。

「…っあ…」
「イヤらしい体ですね…まるで誘っているようだ」

細く引き締まった体は、クモの巣にかかった蝶のように、嗜虐心を刺激する。
うごめく長い脚は、さながら蝶の羽…

「綺麗ですね…」

味わうように、ねっとりと舐めあげる。

「っ、あ…ぁ…」
「甘いですね…蜜でも吸いましたか?」

クスクスと笑いながら言うと、流石に羞恥に顔を赤く染めあげた。

「ッ、い…ぃかげんに…っ」

口を開いたところに、深いキス。
蜜を吸うように、濃厚な口付けを交しあう。

「私は、独占欲の強い男なんです」

誰にも渡したくない…
否、渡さない。
目の前の蝶を、今すぐにも標本にしてしまいたい。

…大切なモノは、手元に置いておかなくては。
行為に溺れ、快感に体を震わせる彼の長い脚に触れる。

蝶の羽…


「千切り捨ててしまいましょうか…」




私が魅せられて止まない甘い蜜を与えてくれるのは、私の下で舞う貴方。

欲しいのは貴方とその蜜。

抗うことなく、さぁ全て預けて。

貴方を満たせるのも私だけ…

「ん、あぁ…っ…ジェ、ィ…ド…ッ」



貴方の羽を千切り捨ててしまいましょうか。


もう何処へも飛び立てないように………













BGM:ルルティア 愛し子よ
 

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