短・中編
□R)尻尾の先まで
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「うわぁっ、ガイッ?」
宿屋に響きわたったルークの悲鳴。それが意味していたものは…
尻尾の先まで
「…何なんだよ…コレ…」
頭からはピンと立った茶色の耳。
尻からはフサフサの尻尾。
誰がどこをどう見ても…
「犬、ですね」
「わァってるよ、そんな事っ…!!」
半分、涙目になりながら叫ぶ自分が、何となく情けない…
「理由がわからないから、お前に頼んでるんだよ…」
大体こんなんが生えたせいで、さっきから散々だ。
「な…なかなか似合っていますわよ、ガイ!」
落ち込む俺に、ナタリアはフォローにならないフォローをくれるし。
「いや〜ん、ガイってばちょ〜可愛い〜♪」
アニスはアニスで、やたらと俺の耳に触ろうとつきまとってくるし。(多分からかいたいだけだ)
「でも、確かにガイは犬だよなぁ〜」
ルークはケラケラ笑いながら、聞き捨てならないセリフを吐くし。
「……」(可愛い…)
ティアは…何か知らんが頬染めて俺をじっと見つめてるし……。
「ちょっとシャクだけど、お前くらいなんだよ…アテにできるのは…」
「成程ね…」
話を聞くに、多分ガイはまだ気付いていない。
恥ずかしながら…偶然出来た失敗薬を飲ませたのが私ということに。
もし気付いていたら、一人でノコノコ、犯人たる私のところへ来るわけがないだろう。
「私もよく分かりませんね〜…」
「……どうしよ…」
しょんぼり垂れる、耳と尻尾。
………可愛い。
「このままじゃ俺、外歩けねぇよ…」
…………襲おう。
思考時間やく0.2秒。
どこぞの早撃ちガンマンもビックリのスピードは死霊使いの頭脳のなせる技だ。
そう思うが早し、早速ガイに覆い被さる。
「……っ?」
予想通り、驚きで目を見開いている。
「実け…検査ですよ」
「ちょっと待て…!今、実験って…あっ…」
フサフサした尻尾を根元から握り、尻尾の先までスルリと抜いていく。
何して…っん、ふ…ッ」
次に耳の裏から中を、ゆっくり舐めあげる。
ぶるっと、初めての快感に体を震わせる姿が何とも愛おしい。
…感度良好。
服の中に手を滑り込ませると、あわててその手を跳ね退ける。
「ちょちょちょ、っと待て!お前これじゃまるで…っ!!」
真っ赤になって、その先を言うことを躊躇う。
「……何ですか?」
「い…いや…気のせいだな…ι」
…やはり女性経験はないようだ。この年で童貞ということに何だか不憫さを感じずにいられない。
ならば、バックの快楽を教え込ませてやるのも悪くはない…!
という事で。
「いただきます」
「ぎゃあぁ〜っ!?」
嘘だ…嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ…!!
「どうしましたガイ?」
「…っ」
この俺が、男に組み敷かれてあんな事やこんな事…あまつさえ感じて…いや、ないないないっ…!
「嘘だぁ〜」
「現実ですよ」
……逃避すらさせてくれないのか…
ガイは情けの欠片すらない隣の死霊使いを恨みがましく見つめた。
「でも、お前が無理矢理…!」
「あんなに気持ちよさそうだったのに?」
「気持ちよくないっ」
ふとジェイドが後ろに手を伸ばしたかと思うと、手には小さな音機関。スイッチらしきものを押した途端…
『あっ…ん、ぁ…ジェイドぉ…ッ』
「……!!!」
「ほらね」
くすっと笑って、俺を見上げてくる。
「ほらね、じゃねェっ!!」
「コレ、暫く研究に使いますから。因に、犬化は2〜3日すれば治りますよ(多分)」
研究……って何のだ。
つうか、さっきは治るか分からないって言ってたのに…
……大体、こんなのにほだされてしまった俺って…。
「うわぁあ〜!!」
かくして俺はこの後しばらく、パーティメンバー(主にジェイド)にいじられ続けることになったのである。
続?