Don't lose me.

□8粒
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誰しも願いや欲くらいはある
叶える為に努力する者もいれば、心の中にしまうだけの者もいる

願いは人それぞれ
しかし、誰しも叶うとは限らないのがこの世
見つからない幸せに苛立ちや悲しみを浮かべる

そして願う者は願いの為に犠牲を払う
それは誰しもしていること

大きな願いの為にはそれに見合う代価かそれ以上を
足りなければ全てを捧げても代価を払う


そんな世界に貴方はどうやって自分を満たすのですか?

もし、貴方の全ての願いが叶うことが出来る方法があるのなら…貴方は幸せというものを掴めますか?















ここで話すのもなんですから、と骸さんに案内されて近くの教室に入った私達
パチッと電気を付けてその間に骸さんはカーテンを閉めた


(もう、真っ暗で殆んど見えなかったや…)


暫く暗い空間にいると電気のあの明るさには目が応える

落ち着いた所で私は窓側の一番後ろの席に座り、骸さんは隣の席の机に座った


「さて、アリス。貴方は童話というものをご存知ですよね?」


「う、うん…」


骸さんは人差し指を立てて話を始めた



「童話、というのは本来子供に話す為の作り話…もしくは実話を元になどそれぞれあります
この世界ではあり得ない話をいかに相手に伝わるか
大抵のものはハッピーエンド、となりますよね?」


「うん、そうだよね…」


私はといえばついていくのが精一杯
いきなり童話の話で何を話したいのか未ださっぱりわからない


「ハッピーエンドな童話もあれば良くない終わり方だってあります
アリスはどっちがいいですか?」


「そりゃ勿論、ハッピーエンドで終わるのがいいでしょう」


誰しもそんな悲しい終わり方なんてしたくないのに
でも童話って他人事のようになっちゃうんだよね…あり得ない話、だからこそなんだけど…


「そうですよね。アリスには幸せになって欲しいものです」


「ちょ、ちょっと待って!」


あ、止まってくれた…じゃなくて!
今頷いてたけど、他人事だと流せない所があったんですけど…っ!?


「おや、説明はまだ終わってませんよ
質問は後で聞きますから」


そしてそんな困った顔しないでください!
質問は後で聞きますって先生じゃあるまいし…

そんな私の心の叫びは虚しくにも終わり、話は続いた



「童話は一つの選択を間違えれば不幸にも幸せにもなれます
アリスにはこれから幸せになる為に、シナリオ通りに進んでもらいます」


「はいっ!?」


話はもうめちゃくちゃだ
例え話が何故か私のこれからの話になっている


「大丈夫です、間違えなければ

全てはアリスが幸せになる為…アリスが幸せになれば全てが幸せになれますから」


「いや、それ意味がわからないんですが…」


「雲雀恭弥を探すのでしょう?それがアリスの幸せなら、いいじゃないですか」


ニコリ、と人の良さそうな笑顔を浮かべる
妙に説得力のあるような威圧感

骸さん絶対人の扱いに慣れてるような気がする


「た、確かに恭弥は探したいよ…でも、それと私の幸せとどう関係が…」


「おや、時間はないようですよ」


私の話を遮り、何故か骸さんは私の後ろ…つまり、カーテンが閉めてある窓を見つめていた

骸さんの視線を追うように後ろを見てみれば見事に



世界が
歪み始めていた



END

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