Don't lose me.

□6粒
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え…?


ギクリ、と肩が揺れた

もしかしてこの子らも私を探しているの?


私は動揺しないようにと出来るだけ平然を装うようにした



「ア、アリス?変わった名前だねー、お姉さん知らないなー…」


多少おかしいが何とか誤魔化せた…かな?




「…そう、」


少ししょんぼりとした表情を浮かべる少年(殆んど無表情だったけど)に私の良心が傷んだ


「ご、ごめんね…」



流石にちょっと辛いな…そりゃあ私じゃない可能性だってあるけど今のこの成り行きで言うわけにもいかないし…


…ってか何でこの子等はアリスを探しているんだろう?
もし骸さんみたいな理由だったら…

でもこの子達見た目からにして小学生に入ったばっかりです、みたいな姿だし…
















…うん、まずないね
アリスっていうのも本当は違う子だったりしてね(出来ればそう願いたいが)



「ねぇ、何で二人はアリス…ちゃんだよね?何でその子を探しているの?」


それを聞いた二人は暫くの間黙ると、オッドアイの白の子が喋り出そうと口を開く


その動作一つ一つが妙に引っ掛かるのを感じて、身構えてしまう





「僕等はただ、アリスを…」












ゴクリ。


























「ただ、純粋に探しているだけですよ」


ニッコリ、とさっきまでの怪しい雰囲気を吹き飛ばすような笑顔で答えた


「えっ…」


そして私はかなり間抜けな声を出してしまった

あまりにも雰囲気がこう、怪しいのが出てたから変に身構えてしまった




「そう、なん…だ」


気が抜けたような、安心したかのようなため息を一つつく

それを知ってか知らずか、オッドアイの子は話を進める



「アリスってば僕等が鬼でかくれんぼしようって言ってそのままなんですよ…本当、なかなか見つかりませんね」


「そもそもなんで僕がこいつと一緒にアリスを探さなきゃいけないんだよ」


黒の子が苛ついたように白の子に文句を言う

それを聞いた白の子は反抗しようと黒の子と向かい合った



「仕方ないでしょう!アリスが決めたことなんですから!」


「それでもムカつく」


「え、あの…二人とも…」



もしかしてこの二人仲悪いの!?
いや、でも手繋いだままだし…



「そもそもキョウが見逃すのが悪いんですよ!」


「君に言われたくないね。大体ムクだって見逃したじゃないか」


見逃す、見逃したと話している二人の会話に全くと言っていい程私にはわからない

そしてキョウ、と呼ばれた黒の子は不意に暗くなり始めた外を指さす



「ほら、こんなこと言ってる場合じゃないよ」


それを見たムク、と呼ばれた白の子はハッ、としたような表情を浮かべた



「!、そうです!」



私も目を向ければ、確かに暗くなり始めている

あれ…いつの間に?


時間が止まっていたかのようなこの場所にいつの間にか夜が訪れようとしていた



「夜がきてしまう…!」


「時間ないよ、早く探さないと」



夜がきてしまう?


二人があまりにも慌てる様子に不思議に思う




あ…そっか

「(親が心配しちゃうもんね)」

すぐに自己解決した疑問はなくなり、今はこの子等が探しているアリスって子を一緒に探そうと意志が働く


だってこんなに暗くなったら誰だって怖いよ




「じゃあ私も一緒に探すよ」


「お姉さんはいいんです」


「えっ…だってほら、君達だけじゃ大変だろうし、早く見付けてあげないとあの子だって…」


意外にもあっさりと言われて返す言葉に戸惑いが表れる


「君には他に探すものがあるから…」



二人は繋いだままの手を後ろにやり、一歩前に進み声を揃えた










「「だからアリスは探すの、大切なものの為に」」



その声はまるでこれからの私の未来を見据えたかの様な、それとも最初っからそれを言うつもりだったのか…

完璧に間違えず言った二人は唖然とする私を余所に、トテトテと走り去って行った


END

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