Don't lose me.

□5粒
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「奇跡だ…」




恭弥の血の跡を辿ってから私はこの先の見えない程長かった廊下で立ち止まった

ようやく壁が見えたのだ


人がいるのか、人影が見える
それに安心して廊下を駆け出す





普通なら学校の廊下の壁ってすぐ見える筈だがここは異常だ…ってか本当この学校いつからこんなに広くなったんだか



そんな事を思いながら声をその人に掛ける



「あのっ…!」



















しかし、それは無意味に終わった

キラリ、と光るそれ






















「…鏡?」





立ち止まり、確かめるように鏡に近付くとまたキラリ、と光の反射によって光る
それが馬鹿にされたように思えて空しくなった






それよりも辿り着いたのはいいんだが…




「どうしたらいいの…」


そもそも壁に辿り着いて何になる

血の跡もここで消えちゃってるし…
それに階段何てものは最初っから見当たらないし、あるのは今自分が映ってる鏡だけ

…また、問題ですか



「少し考え直そう…」



そうして壁に寄り掛かろうと鏡に背中を預けた途端、






「!…う、っわ…ッ!?」

























鏡が開いた。













一瞬の浮遊感


そして次にはドタンッ、という不様な音に背中の痛み






見事に変な転び方をしてしまった


「いっ…たぁ…ッ」



背中から落ちるのって結構痛いね…しかも落ちる瞬間とか心臓が持ってかれそうな…って、何冷静に結論出して言ってるんだ私!

いや、背中だけじゃなくて尻餅も勿論痛いけども!背中はなんというか…呼吸が…ねぇ








「…ん?」



そんな心の中で一人ツッコミをしていると、何かが目につく

倒れたままだし、面倒だからとそのまま周りを見渡すとさっきと全く同じ光景


更に顔を横に向けて視線を今かなり近い地面へと向けるとついさっき見たばっかりの…






恭弥の血…





「…は?え、ちょっ、変わんないじゃん!」



微妙な一人ツッコミをする程わけがわからないのか私は…

とりあえず一旦起き上がり、痛い背中を擦りながらもう一度周りを見渡す




…うん、さっきと全く変わってない
だって教室の番号だって…正確にはわかんないけど(多分)恭弥の血までもが一緒だし


私は開いたと思われる鏡に寄り、開かないかとペタペタと手で探る



「んんんー?どういうこと、よ…っ!」


一応、一生懸命押してみるが…全然ビクともしない




「んぎぎーっ!…はぁ、…これってもしかして内側から開くの?どういうことよ…もう」



…ってかそもそも普通の鏡は開かないだろ

再度挑戦してみるが、なかなか開かない






「出ーしーてーよーっ!」



「そこの鏡はもう開きませんよ、お姉さん」






…ん!?





ドンドン叩いているとふいに後ろから声が聞こえた

驚いて振り返れば、二人の少年が手を繋ぎながらその場にいた



一人の少年は白いシャツに短パンと青に近い独特のあの髪型に赤と青のオッドアイの少年

そしてもう一人は対称的な黒のシャツに短パン、丸っこい頭に少し無愛想な表情をしてる少年



どっちもとても見覚えのある少年だった




「え…?もう開かないって?」


「その鏡は開かないように作られたんですよ」



クフフ、と奇妙な笑いを浮かべる少年は、小さいながらも丁寧な言葉で会話をする



「でも開いちゃったよ…?」


「何故なんでしょうね?僕らにも全くわからないんですよ
ここはあの時からずっと閉まったままの筈なんですが…」



更に手を繋いでいない手で悩むような仕草をする姿は、少年とはあまり思えない




「あの時?」


「ねぇ、」





疑問に思い、聞き出そうとしたが先程からずっと黙りっぱなしの少年が先に口を開いた












「君、アリス知らない?」




END

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